監察官だった尾花が実刑を受け、服役するのだから……。


 闇のようである。


 あの白亜の建物も。


 そう思いながら、仕事を続けた。


 絶えず。


 暇はない。


 ただ、刑事としての職務を全うするのに精いっぱいで。


 余裕がないのだ。


 いろんなことが積み重なっていて。


 だが、また日は昇る。


 そう思い、自分を励ました。


 <苦しい時は空を見ろ>と言うが、その通りだ。


 歌舞伎町をパトロールしている最中、ふっと空を見上げることがある。