毎日、午後九時過ぎとか九時半ぐらいに署を出る。 

 
 そして帰宅したかと思うと、入浴して、バタンキューで眠った。


 日々暇がない。


 だが、意外にも人間というのは上手く出来ている。


 過去のことはどんどん忘れていくのだ。


 時を追うごとに。


 俺だって、昔逮捕した犯罪者の顔など、もう失念していた。


 別に構わないのである。


 昔のことなど、どうでも。


 人間は今を生きるしかない。


 そう念じていた。


 土曜の朝、午前七時に起き出し、ベッドを出てからキッチンへと向かう。


 そして気付けのコーヒーを一杯淹れ、飲んでから、上下ともスーツに着替えた。