新宿の街は朝からくすんでいた。


 人の流れはいつもと変わらないのだが……。


 歩きながら、スマホを弄る。


 新宿中央署は駅からすぐのところにあった。


 刑事課に入っていき、先に来ていた島田に、


「おはよう、シマさん」


 と挨拶する。


「ああ、トノさん、おはよう」


「いつも朝からテンション高いね」


「うん。仕事って聞くと、気分高まるし」


「働き過ぎじゃない?」


「それもあるよ。……でも、家にいてもしょうがないだろ?自宅じゃやることないし」


 島田に余暇はあったとしても、趣味の類はない。