86
 土曜の仕事が終わり、午後九時を回る頃、署を出た。


 そして新宿駅へと歩き出す。


 変わらない光景が開けている。


 目の前に、だ。


 思っていた。


 この新宿という街も、表面上は派手でも、単なる一歓楽街に過ぎない。


 人は多い。


 慣れてしまっていた。


 この街の空気に。


 駅の地下鉄乗り場に立ち、スマホを見る。


 極度の空腹を覚えていた。


 自宅最寄りの駅に着いたら、コンビニで何か買おうと思っていたのである。