「悠長に待ってていいんですか?羽野はまた人を殺しますよ」


「大丈夫だ。本庁の人間だってバカじゃない。俺はそう思ってる。シマさん、もうちょっと落ち着いてくれ」


「……」


 島田は無言でいた。


 来たる年度からもまだこの署に居残ることになっているので、溜まっていた文書類などを整理して、デスクを片付ける。


 そして二日後、新年度が来た。
 

 午前八時半前、いつもと変わらずに、


「おはようございます」


 と朝の挨拶をし、署内へ入っていくと、課長の樋井が、


「トノさん、関東六王会が水面下で動き始めた。組対も連動して動いてる。橋岡や折原もネット上の予告サイトで、活動宣言を出した。警察関係者もネタを掴んでる。俺たちも新宿区内の警官として、捜査に参加させられる可能性が出てきたぞ」


 と言った。