特に刑事は。


 所轄でも仕事は山ほどある。


 <本店>と通称される警視庁の人間たちは、俺たち所轄のデカを見張っているのだ。


 絶えず。


 ゆっくりする間はない。


 ただ、昼食時は気を抜く。


 仕出し屋の弁当を食べながら、だ。


 思っていた。


 腹が減っては何も出来ない。


 心を休められる、せめてもの時だ。


「トノさん」


「何?」


「歌舞伎町はまた巡回する必要があるね」