そして尾花監察官と横川検事総長、それに松下陽一法相が東京地検に連行される手筈が整っている。


 松下の私設秘書の内田真尋(まひろ)が、公設秘書の櫻木恭二と共謀している噂が立ち、松下逮捕と機を同じくして、櫻木や内田も捕まるのだ。


 悪いことは出来ないな。


 そう思いながら、ずっと署に詰め続けた。


 そして週が明ける。


 ちょうど十二月最後の火曜も勤務日だった。


 大晦日の前日の晦日で、朝から署内は慌ただしい。


 午前八時二十分に出勤し、刑事課に入って、先に来ていた島田に、


「おはよう、シマさん」
 


 と言った。


「ああ、トノさん、おはよう。……ついさっき、尾花監察官の自宅と、横川検事総長の執務室に地検の捜索が入ったよ」