と返す。


 そして立ち上がり、フロア隅のコーヒーメーカーでコーヒーを一杯注いだ。


 デスクに戻ってきて、カップに口を付け、飲んでから、


「本庁のことはいろいろあるよ。あれぐらい組織がデカければ、機密ぐらいあってもおかしくないし、当然上層部はそういったものを隠蔽したがるだろうな」


 と言う。


「対岸の火事ってやつかい?」


「ああ。もちろん、安原には犠牲になってほしくないけどな。アイツはまだ三十代なんだし、これから先があるからね」


「俺もそう思う。……組対でも一番若手だろ?」


「うん。たまたま配属された先がそういったマル暴の集まりだけなんだしな」


「朱に交わればって言うけど、そうなって欲しくないよね」


「ああ、俺も気に掛けてる。正直、冷や冷やしてるよ」


 そう言って手元の調書を読みながら、コーヒーの入ったカップに口を付けた。