「ああ。……それに関東六王会の人間たちの動向がやけに気になるし」


「そんなの新宿区内の所轄のマル暴とか、本庁の組対に任せておけばいいじゃん」


「まあ、そうだけどな。俺も気を回しすぎてるかも?」


「うん。トノさんはどうでもいいことに気を掛け過ぎてるんだよ。それじゃきついだろ?」


「まあね。組トップの橋岡陽一郎も、この間の雑居ビル内のクラブでの、組員一斉検挙でしばらくは何も出来ないだろうしな」


「そうだよ。アイツらだって、マル暴が出てきたら叩き潰されるから、怖がってると思うな」


「確かにそうだね。俺も組対で認識がある人間は限られてるし」


 そう言って、息をつく。


 島田が、


「トノさん、安原は何握ってるんだろうな?」


 と訊いてきたので、


「ああ、俺にも分かんない。警察の機密なんて言っても、いずれバレると思うけどね」