下痢や胃痛は相変わらずだった。


 だが、病院に行く暇がないので、ドラッグストアで買った胃腸薬で誤魔化す。


 警視庁付の監察官である尾花が、警視庁広域指定七×二事件において、追い詰められている羽野和夫と衛藤稀人を逃亡幇助している疑惑は消えなかった。


 むしろ羽野も衛藤も、尾花が逃がすことで安堵しているに違いない。


 それにしても尾花が現役の監察官であるにも拘らず、犯罪に加担しているなど、怖くてしょうがなかった。


 震えるような思いでいたのである。


 だが、いずれ検察が尾花を立件すれば、検事総長である横川も立場が危うくなるだろう。


 十五年前の一九九九年、検察の捜査に重大な失態があったことをネタに、横川が羽野たちから強請られていた。


 当時、横川が記録していたデータの中に検察の不正が残っていて、それを知った羽野和夫が接触し、強請ったのである。


 関係省庁やマスコミにはバラさないという約束で多額の金を受け取り、生活していた。


 直後、羽野は五人の人間を殺害するに至ったようだ。