確かに島田はまだ警部補なのだし、所轄にいれば、出世が覚束ないだろう。


 だが、この男は不思議と出世欲がないらしい。


 感じているのだった。


 この無欲さを。


 そして同時にデカとしては信頼できると思う。


 欲がないというのは、心が真っ新だということである。


 一緒に仕事をする相方としては、最高だ。


 そしてその週もあっという間に過ぎていき、金曜になる。


 その日の昼、警視庁公安部の刑事たちが、古賀便文や月創会幹部の隠れていると思われるサティアンへ向かった。


 建物を包囲し、念のため、SATも待機させておく。


 この事件では、特殊部隊も公安と連携していた。


 その緊迫した現場が中継されるのを見ながら、程なく関係者全員が逮捕されるのを見届けるつもりでいる。