「トノさん」


「何?」


「この事件、調べてみる価値あるね」


「ああ。……もちろん、裏ではいろいろ絡んでると思うけど」


「警察にとって、無難な捜査なんかないよ。常に危険を伴うんだし」


「まあ、そうだな。俺もそう思ってる」


 頷き、また調書を読み進めた。
 

 新宿は晴れで、やや暑いぐらいだ。


 これから、蒸し暑くなるだろう。


 俺も思っていた。


 また、あの事件を調べる必要性があるなと。


 まあ、新しい事実が出てくるかどうかは分からないのだし、手間暇がどれだけ掛かるかも把握できないのだが……。