「ああ、そうだな。俺も所轄で地味に刑事やってるけど、本庁とか他の所轄のヤマは気になるね」


 言った後、立ち上がり、フロア隅のコーヒーメーカーに行ってコーヒーを淹れる。
 

 そしてコーヒーを一杯注ぎ、


「先日、課長が例の警視庁広域指定七×二事件で、本庁から捜査や応援の打診がないかどうか、訊いてこられたんだ」


 と言った。


「普通は所轄に本庁のヤマが持ち込まれるわけないだろ?しかも広域指定事件だぞ」


 島田はかなり口を酸っぱくしている。


 軽く一つ咳払いし、


「あのヤマのマル被の羽野和夫と衛藤稀人は捕まったら、必ず死刑相当の刑になるから、逃げ続けるんだろうな」


 と言った。


「まあ、今しばらく経過を見守ろう。その方が賢明だよ」