でね」


「樋井課長には内緒で?」


「ああ。さすがに課長が知ったら、俺の策が分断される。普通所轄の刑事課の人間が、本庁の人間と対等にやり取りすることは暗黙の裡に禁止されてるからな」


「でも、果たしてトノさんの今のやり方が正しいかと言えば、また別問題だろうね」


「シマさん、羽野を捕まえれば、ヤツのバックボーンが残らず暴かれる。まだ警察も現段階では泳がせておくんだ」


 そう言って、デスクのパソコンを弄り続ける。


 電子化された調書を読み続けた。


 大抵、調書のデータベース化は庶務の人間たちがやってくれている。


 俺も思っていた。


 縁の下の力持ちだと。


 警察職員でも、骨が折れる仕事なのだ。


 過去の調書を整理するのは。