パソコンを立ち上げてから、キーを叩き始める。


 フロア内はエアコンが利きすぎていて、寒いぐらいだ。


 スーツの上から背広を羽織ったまま、作業する。


 人間だから、感情はある。


 警察官といっても一警部なのだし、準キャリアの刑事なので出世が覚束ない。


 それに俺には桜田門から締め出された過去があった。


 苦い。


 二課にいれば、今は警視か警視正ぐらいまでにはなっていたかもしれない。


 だが、捜査に失敗したことが仇となった。


 なぜ、あんな致命的ミスを犯してしまったのだろう?


 元相方の小松は二課の課長補佐だが、すぐに課長になるものと思われた。


 それに刑事部長の押村も、警視庁内でしっかりやっている。


 自分に縁故のある人間が、次々と上に昇っていくのを見ると、羨ましいと思う。