新宿のデカ

「うーん、どうだろ。……やっぱ闇だな」


「羽野はあの事件で五人殺してるからね。とんでもない悪党だし」


「まあ、いずれ本庁が本格的に動き出すよ。俺たち所轄は気にしても仕方ないし」


「ああ。あと、六本木の通り魔事件もあるよな?」


「うん。でも、あれも六本木中央署の刑事たちが動いてるから、放っておいてもいいと思うな」


「マル被は浅倉東だろ?」


「ああ。大久保拓生の遺体からは、何も物色されてない。物取りの線は薄い」


 島田が言った後、軽く息をつき、デスクで作業を続ける。


 警視庁捜査二課時代の相方である小松は、今、二課の課長補佐だ。


 キャリア組だから、出世が早い。


 準キャリアの俺とは、まるで事情が違う。


 たまたま俺の方が年長で、しかも準キャリアだったというだけだ。