だが、警視庁幹部だって、バカじゃない。


 特に公安部長で警視正の植島は、月創会の事件で、部下の刑事に取り締まりの指示を出している。


 教祖の古賀便文を追及するためだ。


 植島警視正率いる警視庁公安部は勇躍している。


 押村刑事部長もそうだ。


 配下のデカたちをしっかり動かしている。


 俺も思っていた。


 押村も植島も、目立った失点はないと。


 監察官は何かと負の部分に注意を向けたがる。


 あら捜しが得意なのだ。


 それから流れるように数日が過ぎ、七月上旬になると、暑さが増す。


 連日、署に出勤していた。