「うん。つい最近も、歌舞伎町で夜間風俗店に強盗が入ったし」


「ああ、その事件なら知ってるよ。俺もあれはないだろうって思ったけどね」


 島田が言ったのは、歌舞伎町での風俗店強盗事件だった。


 犯人は現行犯逮捕されたが、事情聴取してみると、月創会の信者だったのである。


 犯罪者集団だ。


 月創会の人間たちは。


 俺も関東六王会の組員を怖がっていたが、古賀便文率いる月創会の方がもっと怖かった。


 カルトだし、ヤクザとまるで変わらないからだ。


 午前十一時前に、課長の樋井が、


「トノさん」


 と呼んできた。


「はい」


 そう言って席を立ち、課長席へ歩き出す。