「うん。ずっと署に詰めてて、運動不足気味だけどね」


 島田も六本木の通り魔事件に関しては、静観しているようだった。


 被害者の大久保と被疑者の浅倉は揉み合い、それで浅倉が殺害するに至ったのだろう。 


 単にそれだけのようだった。


 おそらく六本木中央署刑事課の捜査員も、物証が揃い次第、浅倉を捕まえるだろう。


 被害者のスーツから指紋が出ている以上、それが一番有力な証拠となる。


 俺も思っていた。


 その日、署に詰めていると、島田が、


「トノさん、今から剣道場に行って稽古しない?」


 と言ってくる。


「ああ。ちょっと汗臭くなるけど、やる価値はあるよな」


 頷き、立ち上がってフロアを出、剣道場へと歩いていく。


 島田が付いてきた。