「まあ、そうだね。トノさん、よく見てるな。感心するよ」


「シマさんが少し甘いだけだと思うけどな。刑事なんて皆、ある程度、先を見通せるだろ?」


 言った後、淹れていたコーヒーを飲み、気分を落ち着かせる。


 俺も目の前のことにカリカリする性質じゃない。


 ただ、島田があまりにもいろんなことを気に掛け過ぎているので、気の毒だなと思えた。


 そんなに気を張らなくてもいいのに。


 そう感じている。


 実際そうなのだ。


 何も新宿中央署刑事課の刑事でも、担当しきれない案件は無数にある。


 警視庁の人間が追う事件の方が、遥かにデカい。


 少し参っていた。


 体もだるく。


 疲れているのだ。