出す。


 そしていざ検挙となれば、躊躇いなく一気に捕まえてしまう。


 二課時代に選挙違反や知能犯の捜査で腕を鳴らしていたのだが、今のように所轄の刑事課にいれば、鈍ってくる。
 

 暇があれば、管轄区内で起きた事件の調書を読んでいた。


 事件など、思っている以上にいろいろある。
 

 警察官として島田と組み、常に動いていた。


 樋井はあまり言ってこない。


 ただ、


「トノさん、事件があればすぐに動いてくれよ」


 と言葉少なに言う。


「分かりました」


 そう返すしかない。