「おぉ!やっぱすげーな湊新(ミナト アラタ)!」


感嘆の声を上げたのは、陸上部部長で、俺の親友の広大(コウダイ)。





「なんで本名で呼ぶんですか、部長。」



苦笑をしたのは、さっきまで走っていた2年の女子。

あーちゃんだ。





「新ちゃんお疲れ様。はい、タオル。」



ふわりと頬んで白いタオルを渡したのは、広大の彼女、由美(ユミ)。


我が陸上部のマネージャー。




「さっすがあーちゃんだよなぁ!」


で、俺は吉塚恵(ヨシヅカ メグム)。

一応、陸上部副部長。




華奢なあーちゃんの肩に腕を回して言えば。


あーちゃんから冷たい視線を頂いた。




「『あーちゃん』っていうの、やめてもらえません?」


「えーなんでよ。可愛いじゃーん。」


「あたし、可愛いとか嫌なんです。」