あたしは睨み返すこともなく。
花瑶を見ていた。
「あー。 こんなところにぃ」
ゴミ箱に近づき、ようやく見つけた彼女。
そんな気持ち悪い声は、誰一人求めてない。
朝から嫌な音を耳にしてしまった。
「ひどぃ…」
やめてくれ。
頼むから普通の声を出してくれ。
担任もゴミ箱に花瑶の持ち物が入ってるとわかると、奮起した。
「誰だ! こんなことをしたのは」
あたしだとわかってる人は、ほとんどこちらを見ている。
あるいは滅多に怒らない先生の観察。
花瑶はもちろんこちらを見ている。
「ドール…」
女子の誰かわからなかったが、シンとした教室で小さく呟かれた名前は、あたしに届いた。
もちろんそれは、担任にも聞こえていたみたいだ。


