かといって今から一緒に入る気はない。


「いい。
一人で入る」


「いいのか? それで」


気遣ってくれるスモークを、あたしは無視する。


部屋に戻り着替えを取ると、そのまま脱衣場に向かった。



風呂に入ると温かいお湯が、あたしの心を少しだけ癒してくれた。



大雅の台詞が頭から離れない。


それはあたしの心をひどくズタズタにした。


だけどあたしは、両親を失った悲しみなんてもう必要ないんだ。


そんなの味わう時もなかったし。



気づいたら血の繋がらない家に厄介になってて、いつの間にかここにいた。



それだけのこと。


ここには頼れる人がいるんだ、それだけでいい。




風呂から上がったあたしは、眠りについた。