静かな空間の中、室内を出るのは注目の的。
だがあたしはそんなの気にしない。
教室にあると思っていた手引きがない。
思ったよりも探し出すのに、時間がかかってしまった。
理科室に戻ったのは授業が終わる2分前くらいだった。
何だか理科室の雰囲気がおかしい。
「どうしたんだよ?
早く柵に足かけろよ」
理科室のドアを開けると、そんな花瑶の声が聞こえた。
見てみると、今藤だけがベランダに出ていた。
ついに今日の行動を起こした花瑶。
何をするのか、ドア越しで見ていた。
ん?
今、あいつ足かけろって言った?
バカ、ここ3階なのに。


