「ごめんねー、3人とも。桐くん見つけたから、ちょっと挨拶したくって。」
「桐くん…?」
俺に気が付いた春風が俺を見下ろす形で睨みつける。
「なんだてめぇ。アタシのかわいいミヨに近づくんじゃねーよ。」
「…はい、すみません。」
あまりの怖さに思わず謝ってしまった。
「ふん!」
春風はくるりと向きを変え、三人を連れて生徒の波へと消えていった。
「野添さん、始まりますよ。並びましょう。」
悠に手を引かれ、俺も生徒の波へと飲み込まれた。
噴水前はジャージにゼッケンを付けた生徒で溢れている。
時刻は午前9時ちょうど。
予定では遠足の開始時間だ。
噴水の上方についたスピーカーがザーッと音を立て、遠足の開始を告げた。
『これより、遠足を開始します。』


