「桐くん!」
「ミヨ!」
ジャージを着たミヨがこちらに手を振っていた。
ジャージには『春風組 谷口ミヨ 』と書かれていた。
「ミヨのチーム名か?」
「うん!桐くんは…わぁー、かわいいチーム名だね!」
「…ありがとう。」
しばらくミヨと他愛ない話をしていると、ミヨの後ろから3人の女子生徒が現れた。
「ミヨー、そろそろ始まるぞ。」
パーマがかかった黒髪を後ろで束ねた、厚い唇に、二重まぶたの大きな目、そして170後半はあるであろう長身の女子生徒はミヨの肩に手を置く。
ゼッケンには『春風組 野原春風』と書いてあった。
その後ろにいる二人の女子生徒にも『春風組』のゼッケンが付いているところを見ると、この3人はミヨのチームメイトのようだ。
「あ、春風ちゃん。」
ミヨが春風と呼ばれた女子生徒を見上げる。
「何やってんだよ、こんな所で。アタシもエルもエムも探したんだぞ。」
春風の後ろから、二人の女子生徒が顔を出す。
白髪を耳の下で2つに結んだ女子生徒と、黒髪を三つ編みにした女子生徒だ。
白髪の女子生徒のゼッケンには『春風組 エル•ラミレス』、黒髪の女子生徒のゼッケンには『春風組 エム•ラミレス』と書かれていた。
二人とも顔がそっくりなところを見ると双子だろうか。


