はまきり





「俺は光圀ではない。ミッシェルだ。」


「うるせぇよ!先に謝れよ!」


「ごめんなさい。お母さん。」


「誰がお母さんだ!!」


瀬戸と岡本のやり取りにヒヨリは肩を震わせ、ユキはにこにこと2人を見ている。


「笑うんじゃねぇ!」


「アンタらうるさいよっ!」


突如現れた五十代くらいのふくよかなおばさんが岡本の頭を殴る。


浜霧高校の名物でもある、食堂のおばちゃん田中さんである。


「痛ぇ!」


田中さんを睨みつける岡本をヒヨリとユキが制する。


「すみませんでした田中さん!もうしませんので!」


早口にヒヨリがそう言うと、田中さんは「気をつけてね。」といい、笑顔で調理場に戻って行った。


「ふー…ダメじゃろ、お母さん!田中さんは怒らせると怖いんだぞ。」


「そうですよ、お母さん。田中さんは山姥のハーフで包丁使いなんですよ。お母さんの首なんて一発でスパーンですよ。」