先程までの雰囲気は一気に変わり、静まり返った教室で、再び制御学が行われる。
泣きながら変形を行う生徒もいた。
「それで、野添くんはできたんですか?」
気がつくと、俺とミヨのすぐ後ろに河野先生が立っていた。
「いえ、まだです。」
「入寮テストで出したものをもう一度思い浮かべる感じです。」
河野先生は自分の玉を再び槍の形に変形させて見せてくれた。
俺も挑戦するが、上手くいかない。
「あの…先生、さっきの人病院に連れていかなくていいんですか?」
「もう死んでいるので大丈夫ですよ。それよりも自分のことに集中してください。」
「…はい。」
彼は人が一人死んだのに、何の興味もなさそうで、まるでどうでもよさそうだった。
周りの動揺する生徒を気に掛ける様子もない。
今だって、さっきの続きみたいに俺に変形の仕方を教えようとしている。
しかし、その後も何回か玉を変形させようと試みるが、上手くは行かなかった。
先生は少し考え込んだあと、俺に尋ねた。
「野添くんは何の妖怪ですか?」
「え?…わかりません。」
正直にそう答えると、先生はため息混じりに言う。
「何の妖怪であるかの自覚がないからおそらく上手く行かないんでしょうね。普通そういう人は入寮テストで振り落とされるんですけどね。珍しいこともあるものです。」


