「こんな感じで、ネクタイにしたりだとか、ネックレスやブレスレット、ストラップに変化させたりできるというのはおそらく入寮式で少し説明を受けたと思う。けれど、こいつがどうしてこんな風に形を変えたりできるのかわかる人はいますか?」
先生の問いに答えられる生徒はいなかった。
俺も不思議に思っていた。
これは一体なんなのだろうと。
「この玉はただの学生証ではないとさっき言いました。この玉の本当の使い方。それはみなさんが入寮テストで使ったあれです。」
入寮テストで…そうだ、あの時俺はこの玉を使ってあの化け物と戦った。
この玉が扇になって…
「みな、心当たりがあるでしょう。この玉は、あなた方の妖怪の力を吸ってその形を変えます。あなたの身を守るのに最も相応しい武器になるのです。」
河野先生が玉を握ると、指の間から光が漏れ、先生の背丈ほどの槍の形になった。
「つまり、この玉を使いこなせるようになれば妖怪の力を制御できるようになります。この玉は妖怪の力を吸うわけですから、見た目に妖怪の特徴が出てしまっている人でも、この玉を使っているときだけ妖怪の特徴は消えます。」
そういえば、亜希も玉を使った時は頭の角が消えていた。


