この教科には教科書はなく、主に実技をやるらしい。
「それではみなさん、制御学の教室に移動しましょう。」
クラスのみんながガタガタと席を立ち、河野先生の指示に従って、特別棟へ向かった。
俺たちは特別棟の広めの教室にやって来た。
「ここって…」
生徒たちがざわつく。
無理もない、この教室は入寮テストが行われたときと同じ間取りの教室だからだ。
「みなさん、入寮テスト時にもらった玉は持っていますね?それを出してください。」
河野先生はざわつく生徒を特に気に掛ける様子もなく進める。
「この玉はただの学生証替わりのものではありません。重要なものなのです。」
河野先生は自身が身につけている薄紫色のネクタイを緩める。
ネクタイはするすると解け、玉の形になって河野先生の手の平に収まった。


