現社の授業では、主にこの浜霧高校の成り立ちや、システム、そしてこの世界がどういったものなのかを学んだ。
大体はユキから聞いた話と同じだ。
この世界は人間の世界と妖怪の世界の狭間にあり、どちらの世界でも生きられない、半分が人間、半分が妖怪の存在が、生き方を学ぶためにある。
50分の授業が終わり、先生は教室から出て行った。
「教科書ありがとう。」
隣の女子生徒にお礼を言うと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「困った時はお互いさまだよー。私は谷口ミヨ。ミヨって呼んでねー、よろしく。」
「俺は野添 桐。よろしく。」
「私ねー、この学校に来て本当に不安で。今まで普通の中学生として暮らしてきたから。それがいきなり妖怪なんて言われちゃって…」
「そうなんだ。じゃあ、俺と同じだ。」
「桐くんもなの?よかったー、おんなじ境遇の人がいて。」
ミヨは両手を前で組みながら柔らかな笑顔でそう言った。
「次は制御学だね。なんだか厳しそうだったけど、がんばろうねー!」


