「すみません、教科書忘れました。」
沈黙。
恐る恐る顔をあげる。
見上げた先には鬼のような先生の顔、クラスメイトの視線。
「あなた、死にたいの?」
先生の第一声はそれだった。
「この学校じゃちょっとのミスが命取りになる。入寮テストに合格したあなたならわかるはずです。」
「…はい。」
「そんなようでは次の時間の制御学で死にますよ。」
「…すみませんでした。」
「隣の席の人に見せてもらいなさい。」
先生はそう言うと教壇に戻り、再び授業を再開した。
「あの…教科書…」
隣の席の女子生徒が教科書を見せてくれた。
「ありがとう。」
何事もなかったかのように授業は淡々と進んでいく。
それにしても、この先生は怖かった。
その怖い先生が次の授業はもっと厳しいと言っているのだ、一体どんな授業なんだろうか。


