みなカバンや机の中から教科書を机に出す。
俺も出さなくてはと、カバンを漁る。
しかし、ない。
教科書が見当たらない。
どうやら忘れてきてしまったようだ。
さて、どうしようかと思っている間に授業は始まってしまった。
「それでは、今日は現社とはどんな教科なのか、簡単に説明をしたいと思います…」
昨日は疲れてすぐに寝てしまったからあまり教科書の確認はしていなかった。
初日のそれも1限から教科書を忘れてくるなんて。
「はい、それでは…4ページを誰か読んでください。…」
先生が教室をざっと見回す。
非常にまずい。
俺は目を合わせないようにさっと下を向いた。
「…じゃあ今目を逸らせた…えっと、26番の野添くん。」
なんてこった。


