オリエンテーションはもうほぼ終わっていた。
俺は書類だけ受付でもらい、寮の説明会があるというので次の教室に向かった。
「ねぇ。」
教室に向かう途中で誰かが俺の肩を叩いた。
声の方を見ると、茶髪の少年がにこやかな笑顔を浮かべ俺を見ていた。
釣り目で耳には蛇のモチーフの大きめのピアス。
「え…と、誰ですか。」
「俺は神木レイ、1年生。君は名前何ていうの?」
「野添桐だけど…」
「オリエンテーション遅れて来てたでしょ?」
「…まぁ。」
「遅れて来たというか、もうほぼ終わってたけどね。なんか気になっちゃってさー。声かけちゃった。」
神木と名乗った彼はそう言って舌を出す。
舌の先が二つに割れ、その右側にはリング状のピアスが着いていた。


