悠は木々を睨みつけ、ジャージのポケットから学生証の玉を取り出す。
玉は形を変え、真っ白な拳銃になり、悠の手に収まる。
ガサッという音がして、木が揺れた。
そして、黒い影が木々の間を移動する。
「逃がしません。」
悠が黒い影に向かって発砲する。
黒い影は揺れて、よろめいたあと、木々の間に消えた。
「…隠れられましたね。」
悠は再び拳銃を構え直し、木々に向かって乱射し始めた。
木の破片や、木の葉が舞う。
「ゆ、悠!危ないだろ、当たったらどうするんだよ!」
「大丈夫です。野添さんたちには当てませんよ。」
「俺らじゃない、さっきのやつらに当たったら…」
悠は拳銃を乱射する手を一瞬だけ止め、俺の顔を見た。
「あの人たちに当たったらまずいんですか?」


