「あ、言うのすっかり忘れてたんだけど、明日の朝は自力で起きろよ?」

「え、どしたの?」

「学園祭の打ち合わせ。 俺、学園祭の実行委員だし」


「あー……」



そういえば、学園祭まであと1ヶ月くらいだったっけ。

……旬ちゃんって去年も実行委員で、この時期はしばらく忙しそうだったなぁ……。



「……もしかして、明日だけじゃなくて明後日もその次も、そのまた次も、忙しい……?」

「うん、学園祭が近づけば近づくほど、な」

「……だよね」



……言われてみれば、去年もそうだった。

ていうか、クラスの出し物の準備やらなんやらで、私も朝は早く起きなきゃいけないんだった……。



「どうしよう……起きられるかなぁ……」

「携帯のアラーム10個くらいかけとけば?」

「んー……無意識のうちに止めて、また寝そう……」



学園祭なんて なければいいのに。

ううん、違う。学園祭の準備なんかなければいいのに。


他校の学園祭を見て回る時のように、何もせずにただ楽しみたいなぁ……。



「歩夢か正人に来てもらったらいいんじゃね? 同じクラスなんだから、協力して色々やらなきゃいけないだろ?」

「うーん……それはそうなんだけど……」

「なんだよ、どうした?」



きょとんとする旬ちゃんを見つめながら、小さく小さく言葉を返す。