優しさ、そして愛



未だに玄関で騒いでるみんなを
引っ張って車に乗った





もちろん竣の運転





7人乗っても余裕のある車内の
シートはフカフカ






「さ、着きましたよ」





みんなと話していると
あっという間に柳澤に着いた






「どうぞ」




 
竣がドアを開けてくれた





ここまでしてくれなくても
いいのになぁ…





「うわー、ほんとデカいね」





さすが柳澤組!!なんて沙奈が
隣で感動している





『お帰りなさいませ、お嬢』






入り口にはずらっと並んだ
強面の集団





怖いです、とても





「あ、頭を上げてください!!」





慌てて組員に駆け寄る





「みんな杏さんの帰りを
 心待ちにしていたんですよ」






そう言ってくれるのは嬉しい





家に待っててくれる人が
いてくれるのは幸せなことだ





でも…






「私は普通におかえりって
 言ってほしいです

 それにあの、名前で呼んで
 くれたほうがより嬉しい、です…」





お嬢って言われるとなんとなく
距離を感じちゃうし、おじいちゃんが
組員みんな家族だって言ってたから
もっと仲良くなりたい





「お嬢…」





強面の集団が目に涙をためている





やっぱり怖いです…