優しさ、そして愛



大事なって言われて嬉しかったな




今も繋がれた手はそのままで
伝わる温もりが心地よい





「さっきのは牽制だよ」





前を向いたまま翠が言った





「俺たちは桜琳を仕切っている

 その俺たちの大切にしている
 杏に手を出したらただではすまない

 それを教えるためのね」






さっきとは違う悪戯な笑顔で
私の顔を覗き込む






私のためなんだね…







「ありがとう…」






握る手に少し力を込めた






少し驚いてたけど
すぐに笑ってくれた






「そういえば部屋って?」







「使ってない教室をちょっと
 改造して使ってるの」






その改造とかやったのは
櫂さんたちだけどね






その言葉に私は苦笑い






お兄ちゃん、教室改造しちゃったんだ







「さ、ここだよ」






着いたのは4階の一番端の部屋





外からみると普通だな