走り出しは順調
私たちのチームは
トップ争いをしている
けっこう白熱してる
最後の競技とあって
応援も一段と気合いが入ってる
「ほらっ!!さっさと走れー!!!」
次に走るのは沙奈で
前の走者に檄を飛ばしている
沙奈はバトンを受け取ると
他を寄せ付けなかった
そのままの勢いで
翠にバトンが渡った
次は私の番で最後は蓮
これで勝負が決まる
あ、翠が近づいてきた
「杏ちゃん!!」
あんなに一生懸命走って
私の名前を呼んでいる翠は
はじめて
でも私も負けないように走らなきゃ
絶対一位で蓮にバトンを
渡さなくちゃ
「任せたよ」
バトンを渡す瞬間
私だけに聞こえる声で翠が言った
翠からバトンを受け取ると
私は蓮が待つ場所まで走った

