私の声に気づいた蓮が
こちらを振り返り笑ってくれた
蓮ならきっと
一位とってくれるよね
ピストルが鳴ってから
他の人をどんどん突き放し
いち早くたどり着いた
蓮は借りてくるものが書かれている
紙を見ながらため息を一つ
なにか難しいものだったのかな
「あれ…」
気のせいかな
蓮もこっちに走ってくる
「杏…」
目の前までくると
私の手を優しく引いた
「れ、蓮!」
私の手を引いた蓮
あれ、これってデジャヴ??
「ま、また…」
蓮にお姫様だっこされてます
蓮から香る爽やかな
優しい香りが私の鼻をくすぐる
あんなに走ったのに汗一つかいてないし
今も涼しい顔で私を抱えて走ってる
蓮のお題って何だったんだろう
「白組団一位ー!!!!」
そのまま私たちはゴールテープを切った
「それではお題を!!」
その言葉に蓮が口を開いた
「大切な人」
大切…
蓮の言葉が何度も頭の中で
リピートしている
大切って後輩として?
友達として?
どういう意味で大切なのかは
分からないけど私のことを
蓮が大切に思ってくれているなら
すごく嬉しい…
胸の奥の方が
じんわりと温かくなった
「次は杏が頑張れよ」
スタート地点まで蓮に送った
いよいよ私の番だ
みんなそれぞれ一位をとってるし
私も頑張らなきゃね
ピストルの音とともに
私は走り出した
周りの人より早く着いて
自分のお題を確認した
そこに書かれていたのは…

