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かしゃかしゃと、

騒がしい音で目が覚めた。


少し油交じるおいしい匂いが漂ってきて、

ああ、お姉ちゃんがご飯作ってるんだ。


階段を下がっていくと、

晴れ晴れとした顔をしたお姉ちゃんが、


トントンとリズミカルに鍋を振っていた。


「おはようおねえちゃん」


「あ、おはよう!

 トースト焼けてるわよ」


「ンーっ」

と返事しながらトースターからパンを取りバターを塗る。


「朝ご飯ちゃんと作るなんて、久しぶりだから、

 加減わかんなくていっぱい作っちゃった」


「え?」


がたたっ

あわてて冷蔵庫まで行って扉を開ける。



「3日分の食材が……」


跡形もなく消えていた。


「あら、そんなに使ってないわよ

 3日で、あれしか使わないなんて、

 あんた、ちゃんとパパに食べさせてるの?」



テーブルにはあふれんばかりの御馳走が乗っていた。


「朝からこんなに誰が食べるの?


 我が家には我が家の経済ってものがあるんだから、

 共働きのお姉ちゃんとことは違うんだよ。


 この調子で作ったらエンゲル係数高すぎでしょう?」


「……ごめん」


しょんぼりと肩を落としたお姉ちゃん、

張り切っちゃったんだよね。


居酒屋のゴロちゃんと教師のお姉ちゃん

すれ違い夫婦だから、

一人暮らししてるみたいで自由だって言ってたけど、

それだけじゃないんだよね。


きっと朝ご飯二人で食べるとかもうずっとないのかもね。


それを承知で結婚したけど、

時にはさみしいことだってあるよね。