緑の風と小さな光 第1部

「災いは根元から絶て、と言うではありませんか。

良からぬ魔法薬を作って売りさばいている者共がいるのです。

庶民のためにもなりません。」

『良からぬ魔法薬』の中には『魔法使いを酔わせる酒』も含まれていて、それでヤールの命を狙っているという話ではあるが…。

「庶民のため、か。ファム作りは庶民の楽しみだぞ。それを奪うのはどうかな。それで生計を立てている者もいる。」

セレが説教をたれるのは初めてだった。

「楽しみなんて他にいくらでも有るでしょう。」

「…ヤール、自分の目でみんなの暮らしを見て来た方がいい。身分を隠してな。」

セレの離宮の使用人は庭師以外は庶民だった。

ヴァシュロークにも色々な村や町ヘ連れて行ってもらった。時には農作業を手伝ったりもした。

『国とは領土と領民で成り立っているもの。何よりも大切にしなければならない。そして、これらを守り統べるのが王の役目なのだ。』

ヴァシュロークに言われた事だ。

彼はセレの命が短いとわかっていても、教育に手を抜かなかった。

政治、経済だけではなく、国の在り方、王の在り方を様々な面から叩き込んだ。

死期がどうであろうがセレを王族として扱った。