緑の風と小さな光 第1部

「危険?そうか?いや、死んでいる身なのだから…」

ここに忍び込むのは困難とは思ったが、危険かどうかは考えていなかった。

「兄様はバカなんですか!」

「え…」

「昔から兄様はそうだった。離宮での竜巻の事件、覚えていますか?」

「う、うん…」

あの時ヤールをそそのかしたのはセレだったが、それはヤールがまだ帰りたくない、と言ったからだ。

「いつも人の事ばかり心配して…

もう少し御自分の事をお考えになって…

…ああ、今更言っても仕方ありませんね。」

ヤールはハンカチを取り出し、セレの止血をした。

血が生々しい。

まるで生きているみたいだ、とヤールは思った。

「ありがとう。随分と血で部屋を汚してしまったな。」

「そういう問題ではありません!兄様が怪我をしているのを見たら放っておけないでしょう!死人《しびと》だとしてもです。」

…セレの方が弟に叱られてしまった。

だが、セレには言うべき事がある。

「…ところでハーブ禁止の件と増税の件は聞いたぞ。何を考えているんだ?」