窓の周りに真空の空間が出来ている。いきなり飛び込んだら、頭だろうが手足だろうが、スッパリと切り落とされる。

…ゾッとする…

これは風の魔法だ。相手もセレと同じく『風』と『大地』の魔法を使うらしい。

セレは短い呪文を唱えて真空を解除し、風を送り込んだ。

これで大丈夫な筈だ。だが、油断は出来ない。息を潜めてしばらく様子を伺った。


…と、いきなり目の前にそいつは来た!


セレに剣を振り下ろして来た。相手も風の魔法使いだから動きが速い。

辛うじて避けた。

剣は壁に刺さった。

素速くその剣を抜きながら、タリヤはセレを問い詰めた。

「貴様、何者だ?!」

「正体は明かせない。王に大事な話がある。」

「大事な話?言ってみろ!」

「王に危険が迫っている。それを知らせたいだけだ。」

「危険なのは貴様だろう!おかしな事を…まあいい。今、吐かせてやる!」

タリヤが呪文を唱えた。

おびただしい数の屋根瓦が宙に浮かび、セレを目掛けて飛んで来る。