だが、ヴァシュロークは人の心を操る魔法は好きではない。

「セレは常々『強くなりたい』と言っていたから、その心を利用した。そして『生きる事への執着』を少し付け加えた。それだけだ。」

…それで、あの弱々しかったセレが力強く歩き始めた。

物事の要を見極めるヴァシュロークの目には恐れ入る。

「ヴァシュローク様は全てお見通しだったのだな…」





セレとピアリは初夏の森を楽しみながら歩いていた。


2人共、まだ何も知らなかった。

これから出逢う色々なこと、様々な人…

セレとピアリがずっと一緒に生きて行く事になるのも…

  『セレの選択が正しかった』

とわかるのも、まだずっと先の話だ…