まさか、そう来るとは…

「私、お母さんに会いたい!」

「!ピアリ…いや、それは…」

ローエンがうろたえている。

「死んでなんかいないでしょう?

私を産んですぐに死んだって言ってるけど、時々手紙が来てるよね?

違う名前で来てるけど、あれはお母さんでしょ?」

「…そう…エルミアは生きてるよ…」

ローエンが言いにくそうに答えた。

「エルミアも普通の人間としては生きられないのだよ。…彼女はウンディーネなんだ…」

「ウンディーネ…今でもいるのか。」

セレは話に聞いた事はあったが、昔の事とばかり思っていた。

「ウンディーネって何?」

「水の精だよ。」

セレが説明した。

「えっ…お母さん、水の精なんだ…」

ウンディーネは正体を隠して人間と暮らす事がある。

しかしウンディーネだと知られると、人間の姿を保つ事が出来なくなり、水の中に戻らなければならない。

「あの時、気付かない振りをすれば良かったんだ…」

ローエンは苦い顔をした。

「最初に声をかけたのは私だった。その時はウンディーネだなんて思わなかった…

街の市場で困っている様子だったので声をかけたんだ。」