ローエンは2つ隣の部屋にいた。

ピアリの声を聞いて廊下に出て来た。

「ピアリ、ここだよ。」

「お父さん!」

ピアリはローエンに抱きついた。

「もう!本当に死んだと思ったんだから!ひどいよ!」

「悪かったね。私もお前達がどうなるかと心配だったよ。無事で何よりだ。セレ様もお前も立派だったよ。良くやった。」

「…私、セレにひどい事をしてしまったわ…私を助けてくれたのに…どんなに謝っても足りない…」

「いいんだよ。」

セレがすぐ後ろに来ていた。

「いいえ!あなたの心が潰れてしまう様な事を言ったわ…本当にごめんなさい…」

ピアリの目から、また大きな涙がこぼれた。

「いや、本当にもういいんだ。ピアリが悪いなんて思ってないし、俺は大丈夫だよ。」

あの時、心臓をえぐられる様に感じたのは確かだが、ピアリを責めるつもりは微塵も無かった。

「それよりシエナが朝食を作ってくれたそうだ。せっかくだから頂こう。」