ドアの前に立つとノックをする前にシエナの声がした。

「どうぞ。」

中に入るとシエナとローエンが、セレの目を見た。

「決まった様ですね。」

ローエンが声をかけた。

「では答えを聞きましょう。」

セレは目を逸らさずに答えた。

「俺は普通に生きて行こうと思う。」

「…本当にいいのですか?」

シエナが驚いた様に訊いた。

「ああ。」

真摯な瞳だった。

シエナはその瞳に揺るぎないものを感じた。

「わかりました。…それなら今日はもう何も言う事はありません。」

「そうだね。まだ日は高いけど今日はもう休んだ方がいい。あなたは昨日から寝ていないでしょう?」

「ああ。そうさせてもらう。」

セレは自分の部屋に戻った。

ピアリの寝息が微かに聞こえた。

安らかだった。

ローエンが生きているとわかって安心したのだろう。