緑の風と小さな光 第1部

「ある程度の身分だって事にすれば?貴族だって旅をしている人はいるよ。」

「身分か…誰もいない草原で平民の服装で目覚めたあの日『王室とは完全に縁が切れた』のを悟ったよ…もう何の身分も無いと…」

…いつかこんな日が来るかもしれない、と思ってはいた…

なぜ自分が死んでいないのか?との疑問と共に、両親とも弟とも二度と会えない悲しみが胸に広がった。

ピアリが来たのはそんな時だった。

彼女に名を呼ばれて振り返った瞬間に、目に溜まっていた涙が流れ落ちてしまった。

「ピアリと初めて会った時、俺は悲しみの底にいた…でも彼女を見た瞬間に『これではいけない』と思った。

今の自分で生きていこうと…。

あんなに可愛い子が来たら弱い所なんか見せられないだろ…それもヴァッシュ様の計算かな…」

「なんだ…一目惚れじゃないか…」

「一目惚れ?最初から俺はピアリにまいっていたのか…完全に一方通行だけど…」

「そうでもないかも。最近のピアリはちょっと違う。…気づかない?」

「前よりもよそよそしいな…寝る時も隣に来てくれないんだ。今まではすぐそばでスースー眠ってたのに…。俺は何か気に入らない事をやったかな? 」